SSRTによるV、Ti複合添加ボルト用鋼の遅れ破壊感受性評価

摘要

遅れ破壊は、腐食反応などにより発生·吸蔵された微量の拡散性水素に起因するとされており、その防止策として拡散性水素のトラップ作用を有する微細炭窒化物としてVやTi分散が試みられている。 例えば、0.07％V及び0.05％Tiを複合添加したボルト用鋼であるKNDS4は、V、Ti無添加のSCM440よりも定歪型試験や実暴露試験で耐遅れ破壊性に優れることを確認している。 一方、報告者らはこれまでマイルドな環境でも遅れ破壊特性の高感度評価が可能なSSRT（Slow Strain Rate Technique）を用いて、V、Ti添加鋼の遅れ破壊特性を基礎検討じ、Ti単独やV-Ti複合添加により耐遅れ破壊性が向上することを報告してきた。そこで本研究ではSSRT法を用い、VとTiを複合添加した実用ボルト用鋼の遅れ破壊特性を鋼中拡散性水素量などとの関連にて評価した。