19世紀末のイギリス鉄鋼業の展開とイギリス鉄鋼協会

摘要

以上から，鉄鋼業が巨大装置産業として成立して物理学や化学の重要性が増していく時期にイギリス鉄鋼協会が科学的鉄鋼研究に本腰を入れきれなかったことは，業界団体としての性格上の制約であったと結論できる。 つまり，学協会のような社会的存在が整備されたとしてもそれが直接に研究を進めたわけではなかったのである。 以上は，100年以上も前の歴史的事例であるとはいえ，わが国の科学技術政策の今後の展開においても十分に意識されなければならない問題であると考える。