水素の転位トラップに及ぼす固溶炭素の影響（高強度鋼の水素トラップの解析 -第三報-）

摘要

遅れ破壊等の水素脆化は、環境から鋼材中に侵入する水素に起因することが知られている。 室温では固溶水素量が非常に少ないため、侵入水素の大半は転位、析出物、介在物等にトラップされていると考えられている。 しかし、各種の水素トラップサイトは明確になっていない。 前報1）で、水素昇温分析で見られる第1ピーク水素（約100℃二転位の弾性応力場）は、塑性変形により新たに生成した転位芯（第2ピーク：約300℃）にシフトすることを報告した。本報では、マルテンサイト変態時に生成する転位トラップ水素の室温時効挙動を解析し、転位一水素－固溶炭素の関係を考察した。