Dyなど中重希土は中国の生産規制遵守で供給不足も--CeやLaは中国外でフル生産なら早くも供給増に転じる

摘要

レアアースの12年の世界供給見通し（REO酸化物換算，表り　は，中国·南部の生産量が規制強化で大きく減少する可能性があるものの，128，000tで前年比3％減と大きな変動がない。地域別では，中国が112，000tで同10％減るものの，中国外が16，000tと同2．3倍に拡大するなど，中国依存度が低下じていく。元素別にみると，中量希土類の需給はタイト感が強まるとみられている。中量希土類の主産地となってきた中国·南部のイオン吸着型鉱床はこれまで，実際の採掘·生産量が中国政府の規制量を大きく上回ってきた。12年からは中国内で取引される希土類精鉱，酸化物，金属向けに専用のインボイス（「発票」）が導入されることから，採掘·生産規制が遵守されると，ジスプロシウム（Dy）など一部の中量希土類は供給不足に陥る恐れもある。一方で，中国外の生産者がフル生産を行えば，セリウム（Ce）やランタン（La）の供給量は12年から増加に転じ，元素ごとの需給バランスは大きく崩れていく。