高強度ばね用鋼線の疲労特性

摘要

低中強度鋼の平滑状態における疲労強度は自由表面におけるStageI型き裂の生成と進展に支配され，一般に引張強さに比例する。 しかし，強度の上昇につれ，すべりによるき裂の発生およびその内部への進展抵抗が増大し，表面粗さや介在物などの材質的欠陥の存在に敏感となり，疲労き裂はそれらを起点として発生するようになる。 この遷移は引張強さ1200MPa程度で現れ，それ以上材料強度を増加させても疲労強度ほ改善されないとされてきた。 本研究では比較的清浄度の高い高強度ばね鰯同線を侠試材とし，菌げ疲労試軌疲労き裂進展試験などにより引張圧縮応力下での疲労き裂の発生および進展挙動を調査した?また，介在物寸法パラメータを用いた疲労限度予測モデルにより，実験結果との比較検討を行い，高強度ばね用鋼線の疲労破壊挙動の構成要因を検討した．