地域資源を活用した新事業の創造に向けて-府内中小企業の地域資源活用実態に関する調査結果報告書

摘要

以上から、府内中小企業は、新事業や共同事業には積極的に取り組んでおり、それを業績に結び付けている企業が多いといえる。 また、地域の経営資源の活用実績も多いなど、地元地域との関係性も強いが、地域資源の活用実績は現状では限られている。 この要因としては、地域資源そのものの知名度の低さもあるが（本文E38～39参照）、ある程度の規模を有するマス市場を対象とした事業を展開している企業が多いため、生産量が限られる地域資源を活用したニッチ市場向け事業は、具体的な事業戦略や計画の検討が難しいことが大きな要因と考えられる（本文E32～36）。 しかし、一方で、地域資源が有する様々な特徴は、成熟化の進む現在の市場においては、商品や事業の優位性を確保する上では有効なものであり、また、近年の安全安心などへの消費者意識を考慮すると、その活用は時流にあった取組といえる。 実際、地域資源活用に取り組む企業の業績は優れているという結果もあることから、マーケテイング活動を徹底し、市場ニーズに合致した形で事業を実施できれば、業績向上に向けた有効な取組となりうる。 そのため、今後は府内中小企業においても、地域資源を積極的に活用し、業績向上を実現する企業が増加することで、地域の活性化が実現されることを期待したい。