黄砂粒子とその海洋大気中での変化：最近の電子顕微鏡による観察結果

摘要

「はじめに」に紹介したように、黄砂は自然現象であるが、環境への影響という点で実際に環境の維持·進化に非常に重要な役割を担っていることは間違いない。 しかし、黄砂粒子の働きおよびその結果に対する認識がごく僅かであることからまだまだたくさんの謎が残されている。 春には強い黄砂（heavy dust）、他の季節には弱い黄砂（weak dust）として、大陸から絶え間なく鉱物を海に供給し続けている。 この定常的な海への鉱物供給は、海の植物プランクトンへの栄養塩の提供以外に、海水中の二酸化炭素、硫化水素、硫化ジメチル（DMS：Dimethyl sulfide）などの物質循環に参入することによる気候変動への痍い関与の可能性も指摘されている）。 最近では、大気中に浮遊している黄砂粒子の菌やウイルスへの関与、つまりバイオエアロゾルへの関わりも研究話題になっている。 黄砂粒子の人体への影響が懸念される中、菌やウイルスの拡散や再分布などにも不可欠な役割をもっていることが予測されており、今後も黄砂粒子は大気エアロゾルの分野でも微生物の分野でも重要な研究課題であることは言うまでもない事実である。