私と空気環境あれこれ

摘要

私と空気に関する研究の出会いは、当時、州立イリノイ大学の助教授であった早川一也先生の薦めで、1962年イリノイ大学大学院に留学、衛生工学研究科大気汚染（Air Pollution）専攻に始まった。 戦後わが国の大気汚染被害といえば、昭和20年代の高度経済成長前半、石油コンビナートや火力発電所などの大工場を抱える京浜工業地帯に隣接する川崎、横浜に発生した慢性気管支炎と喘息の集団発生が挙げられる。こんなエピソードがある。 横浜の高台にある高級住宅地が進駐軍に接収され、米軍の高級将校の家族の庭宅にあてられた。 高台から東京湾を臨む眺望は絶景である。 しかし、周辺の地形から、気候が逆転層を起こしたとき、高台の住宅が逆転層に巻き込まれ、工場から排出される亜硫酸ガスを主役とする汚染物質が海風に運ばれ、もろに住宅に襲いかかり、米軍家族は気管支炎や喘息の被害に悩まされ、本国に帰国を余儀なくされた家族もいたといわれている。 昭和30年代前半には四日市の大気汚染が全国的に問題視され、昭和37年には煤煙の排出の規制等に関する法律が成立した。