フェノール性環状ホスト分子·高分子を基にしたイオン性超分子マテリアルの創製

摘要

「イオン液体」は、プラスとマイナスのイオンからなる塩で、室温以下で液体の化合物である。イオン液体は、低毒性、優れた電気分解耐性·化学的安定性を示し、高いイオン導電性や、高温においても揮発しない（不揮発性）、燃焼しない（難燃性）といった優れた熱安定性を有しており、水や有機溶媒とは全く異なる魅力的な性質を示す、“第3の溶媒”として注目を集めている。一方、「フェノール樹脂」は、フェノールとアルデヒドを原料とした熱硬化性樹脂の一つで、ベトクランド博士により世界で初めて植物以外の原料から、人工的に合成された高分子である。我々は、フェノール樹脂をイオン液体中で合成する過程で、ラエノール樹脂とイオン液体が相互作用を形成することを見出した。これをもとにしてフェノール樹脂にイオン液体を閉じ込めた高イオン電導性材料、及び我々が独自に開発したフェノール性環状ホスト分子Pillar［5］areneとイオン液体との複合化·触媒·マイクロポーラスフイルムの創成について行った。