バナジウム触媒による酸素を用いたアルカンの部分酸化反応

摘要

1気圧の酸素を酸化剤に用いてVO(acac)_2触媒によるアルカンの部分酸化反応を行った.プロピォン酸溶媒中，T=393K，6時間のアダマンタン(1.59M)の酸化では，酸化生成物合計の収量は1.04M(収率65%，3300TON)であり，高活性であった.シクロヘキサン酸化でのアルコール/ケトン比および速度論的同位体効果，デカリン酸化反応でのcis:trans比の結果，そしてUV-vis，ESRを用いた検討から，バナジウムパーオキサィド種が活性種として作用してアルカンの水酸化反応が進行し，デカリンの酸化反応では80%以上立体化学を保持して9-デカロールが生成することが明らかになった.[主張したい事項](1)アダマンタン酸化への有効性，(2)アルカン酸化の機構，(3)バナジウム活性種.