大規模量子化学計算による担持貴金属触媒における担体効果の解明

摘要

著者らは，第一原理計算に比べて圧倒的な高速計算を可能にした高速化量子分子動力学法の開発に成功している。 そこで大規模モデルを用いて，貴金属触媒の電子状態と触媒性能に対する担体効果の理論的検討を行った。 高速化量子分子動力学計算から，ZrO_2（111）に担持された貴金属クラスター（Pt，Pd，Rh）において貴金属から担体への顕著な電子移動が観察された。 また，CeO_2（111)面に担持したPt_(13)クラスターでは，ZrO_2（111）面上の場合に比べ，より顕著なPt_(13)から担体への電子移動が確認され，両表面が異なる担体効果を示すことを明らかにした。さらに貴金属触媒上でNO分子の活性化に対する担体効果も明らかにした。