DLC膜評価プロジェクトの紹介

摘要

ダイヤモンド状炭素（DLC）膜の工業化が著しく進展している．これは日本が世界に自慢できるナノテクノロジーの一つであるといって過言ではないし，世界に大きなインパクトを与え始めている．その一方で，優れた技術にもかかわらずDLCがどのようなものだかわからずに，使用することをためらっている向きもある．DLCの定義は暖昧で，どういうものかわからないといった声をよく耳にする．DLC膜をこれまで以上の稼ぎ頭に育てるために，いよいよチガイのわかるDLC膜を提供する時期にきた．うちの膜はDLCか，うちのDLC膜はよそとはどのように違うのか，いま製造しているDLC膜は最高級か，まだ改良の余地があるのか，そして今後も世界をリードしていけるのか，このような疑問を解決するためには，DLC股のさまざまな構造や物性を定量化し，さらに分類しなければならない．そのためにはモノサシをどうするか考えなければならないばかりでなく，きわめて高価な評価装置をそろえないといけない．このような仕事はもはや一企業や一大学でやることではなく，国力としてどうするかという分野の仕事になる．DLC膜に斬り込むために，日本が動き始めた．