第3回 化学産業の安全活動の歩み（上）

摘要

1912年（大正元年）、足尾工業所所長の小田川全之氏がアメリカ産業界で提唱されていた「セーフティ·ファースト」　の運動に感銘し、日本に持ち帰って「安全専一」とし、従業員の安全衛生意識高揚を図ってから100年を迎えましたが、そもそも100年前はどのような時代だったのでしょうか。その当時の出来事等を調べると、産業界の大きな事故として夕張炭坑の爆発事故が出てきますが、日本の中心産業のひとつとして鉱山からの石炭、金属資源採掘が大きな位置を占めていた時代であり、また、女工哀史に象徴される繊維産業が日本を支えていた時代だったことが分かります。