細菌感染症　グラム陽性球菌感染症　ブドウ球菌感染症

摘要

ブドウ球菌(staphylococci)は,ヒトの皮膚や粘膜に遍在して定着している菌で,ヒトの病原菌として初めて確認された菌種のうちの一つであり,化膿性感染症,全身性中毒,尿路感染症など様々な症候群を引き起こすことが知られている. 1980年代より急増した,院内感染の主要原因菌である多剤耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-reisistant Staphylococcus aurem (MRSA),methicillin-resistant coagulase-negative staphylococci(MRC-NS))のみならず,ここ10年の間には,これらの特効薬であるバンコマイシンにも耐性を獲得したvancomycin-resistant Staphylococcus aureus (VRSA), vancomycin-intermediate staphylococcus aureus (VISA)の出現,更には院内にとどまらず,市中獲得MRSA(community-acquired MRSA:C-MRSA)としてのブドウ球菌の増加などが,臨床的に重要な問題となってきている.