一時停止交差点走行時の運転行動パターン: 右折時における横断歩行者の安全確認とアクセルペダル操作

摘要

実験1では，市街地における一時停止交差点右折時には，主に横断歩道到達直前の数秒間で歩行者の安全確認をおこない，これに同期してアクセルペダルの踏み込みを抑制する操作パターンが典型例として観察された．続く実験2では心的作業負荷（暗算課題）による運転への影響について，実験1で見いだされた視認行動および運転操作パターンの変化から検討した．その結果，右折先横断歩道の到達直前における歩行者への視認時間が半分程度に減少し，交通弱者に対する安全確認行動が低下することが示された．さらに運転操作についても，アクセルペダルの踏み込みを一時的に抑制する操作パターンが消失する可能性が示された．本研究での知見は，さらにデータを蓄積して検証する必要があるものの，アクセル操作パターンを用いた対歩行者注意状態の推定など，車両村交通弱者事故を予防する安全技術への活用が期待される．