日本化粧品技術者会第42回SCCJセミナー

摘要

羊毛の伸長セット，フラットセット,毛髪のウェーブセット，縮毛矯正，カラーリング，ブリーチ処理に深く関わるSS架橋の化学と物理の一端が明らかにされた。ウェーブパーマにおけるカルポキシル基を持つ還元剤やブリーチ処理における過酸化水素がKAP分子間SS結合を切断し，凝集構造が破壊されるためケラチン繊維の力学物性の低下が起こることが見いだされ，毛髪のダメージにおけるKAP間SS結合の重要性が指摘された。繊維軸方向に配列したIF分子を取り囲むKAP凝集体の水膨潤によってIFロッド領域はKAP凝集体から，N,C-末端鎖網目を介して強い圧縮を受け口ツド表面の水和が調節される。KAP凝集体の規則配列が還元処理やブリーチ処理によってKAP間SS結合が破壊されて不規則配列に変化するとき，ロッド表面に加わる圧縮力は減少し，IFの水和が増加，水中弾性率の減少が起こる。