高機能ステンレス鋼の種類と用途：II.高機能ステンレス鋼と用途－3.高成形加工ステンレス鋼 (1)鋼板

摘要

ステンレス鋼は耐食性、耐熱性、強度に優れているため、建築関係、電気関係、ガス器具等広い範囲に使用される。一般にステンレス鋼が平板のまま用いられることは少なく、張出し、深絞り等の成形加工が施されることが多い。 ここでは、成形加工のうち、張出し及び深絞り成形の説明とそれに必要な材料特性について述べる。 ビードクランプによって材料を固定することにより、周辺部から材料が流入せず、板厚を薄くしながら表面積を増加させ、ポンチやダイの形状に成形される方法である（図1）。 表面積の増加は、必ず板厚の減少を伴い、張出し成形では材料の伸び限界で深さが制約を受けるほか、たとえ割れなくても成形品の機能的な面から、大きい板厚減少は問題となるため、おのずと張出し量は制限される。 よって、材料特性としては伸び、n値（加工硬化指数）の大きい材料が張出し性に優れる。