無線マルチホップセンサネットワークにおけるバーストデータ配送プロトコル

摘要

センサノードにおいては、電池容量のみならず通信バッファも必ずしも十分に備えることができない。このため、一時的な配送センサデータ量の増加によって、マルチホップ配送経路の中継ノードではバッファオーバフローが発生する。 次ホップノードのバッファオーバフロー発生時にはセンサデータを転送することができないため、マルチホップ配送遅延が拡大する。 本論文では、次ホップノードの通信バッファがオーバフローしている場合には、マルチホップ配送経路に含まれない隣接ノードヘセンサデータを転送することによって配送遅延の拡大を回避する手法を提案する。 これを実現するためには、あらかじめマルチホップ配送経路上の各センサノードの適切な隣接ノードを前ホップセンサノードのルーティングテーブルに登録するルーティングプロトコルと、次ホップセンサノードのバッファオーバフローを検知してその隣接ノードへと転送先を動的に変更するメッセージ配送プロトコルとが必要である。 本論文では、前者をAODVの拡張として、後者をNackメッセージの明示的な返送として実現するプロトコルを設計し、その性能をシミュレーション実験で評価する。