計算科学手法と原子力分野における応用：第1回 計算科学技術概観,連続体のシミュレーション手法と適用例（その1）

摘要

計算科学技術は原子力とともに発展したといっても過言ではない。 モンテカルロ法は核分裂中性子のふるまいをシミュレーションするために米国ロスアラモス研究所で考案され発展した。 マンハッタン計画を発祥とする米国のエネルギー省傘下のロスアラモス，アルゴンヌ，ローレンスリバモア，オークリッジ等の国立研究所での原子力研究開発に伴う計算のニーズと予算が科学計算技術のハードとソフトの発展の原動力となった。日本においても原子力発電導入の始まった昭和40年代にはカードにパンチされた膨大なプログラムを抱えて原子炉設計や安全解析のためにCDC 6600/7600やIBM 360/195といった当時の最高性能計算機を持つ研究所や企業に日参された諸先輩も多かったであろう。 その後も日本原子力研究所計算センターに導入された日本最初のベクトル計算機FACOM 230/75と東京大学大型計算機センターに導入されたHITAC M-180/200 H/280 Hなどが性能を競った。 その後はHITAC S 810，FACOM-VP，NEC-SXなどのスーパーコンピュータの恩恵にあずかった原子力研究者も多いことと思われる。 現在はパソコンがこれらのスーパーコンピュータを凌ぐ能力を持つに至っている。