粘土系無機多孔質材料によるデシカント空調用吸着剤の開発－ハスクレイの除湿性能について

摘要

上記のような背景に基づき，直線的に近い水蒸気吸着等温線を有する性能に加え，実用化の観点から合成時にテンプレート等を用いず低コストかつ大量に合成が可能な，無機多孔質材料の開発を行った．その結果，生成物のX線粉末回折図形において，非晶質アルミニウムケイ酸塩（Hydroxyl Aluminum Silicate）と低結晶性粘土（Clay）の2種類のピークが見られることから，Hydroxyl Aluminum Silicateの頭文字3文字HASとClayを合わせた造語としてHAS-Clay （ハスクレイ）と称する無機多孔質材料が，水蒸気吸着性能において優れていることを明らかにするに至った．本報では，ハスクレイに加え工業的な大量合成が容易なハスクレイ前駆体についても水蒸気吸着性能の評価·検討を行ない，それぞれの水蒸気吸着機構に関する推定と，恒温恒湿槽と乾燥器を用いた実験による低温再生性についての検討を行った．