冷凍·空調機器開発におけるシミュレーション技術：三次元逆解法設計とCFDを用いた冷却塔用軸流ファンの開発

摘要

冷却塔用の軸流ファンの開発に三次元逆解法を適用した．逆解法手法により設計したファンの羽根に対し，CFDによる空力性能·流れ評価を行い，冷却塔に適用する羽根を決定した．決定した羽根を実機冷却塔に搭載して空力性能の検証を行い，下記の結果を得た．（1）本開発ファンの仕様および子午面形状では，逆解法設計の入力パラメータとして，設計回転数（無次元理論揚程）の影響が大きいことが明らかとなった．（2）実機冷却塔を用いた検証試験より，逆解法設計ファンは仕様の静圧上昇量を確保し，かつ，既存羽根より効率比が20％以上高いことが明らかとなった．以上の結果より，逆解法設計手法は，軸流ファンの設計においても有益なツールとなりうることを示した．なお，今回開発したファンは現在発売中の冷却塔に採用され，省エネルギーに貢献している．