攪拌用送風機による室内環境改善と空調機の運転効率化

摘要

建築物で消費するエネルギーの中で空調の占める割合は大きく，オフィスビルでは3割に達していることから，空調エネルギーの削減は，特に電力事情の厳しい今日においては急務のテーマである．空調エネルギーの削減技術には，機器本体の高効率化による省エネ技術とともに，空調負荷を低減する手法があるが，ここでは本号特集テーマである“空調負荷を軽減する技術”の一例として，空調機の系統集約とそれに伴う環境悪化を攪拌用送風機で抑制する手法について述べる．なお，本報で述べる方法は正確には“空調負荷を軽減する技術”ではなく，むしろ空調機をより効率的に運転させて省エネを図る手法であるが，熱源機よりも負荷側に係る技術の例として，ここで報告する．ここでは，室内機の配置条件には限定されない手段として，攪拌用送風機の併用を検討している．本稿では，低負荷時に空調機群の系統集約を行いつつ攪拌用送風機を併用する手法について，実際の事務所空間に攪拌用送風機を設置して，冬期暖房時に実測評価を行ったので，その結果を紹介する．