「備え」としてのロジスティクス

摘要

恒例のロジスティクスソリュージョンフェア2011が開催される。今年は、3月11日の東日本大震災の発生が、ロジスティクス、サプライチェーンの重要性を大きくクローズアップさせることになった。平常時には当たり前になっていた物資やエネルギーの供給がひとたび停止すると、我々の生活や産業にいかに深刻な打撃を与えるか、身にしみて感じられた。「想定外の事象」の発生によって、盤石だと思い込んでいたロジスティクスにおけるさまざまな潜在的な問題が浮かび上がってきた。ところが最近、製造業の一部では当初の予想よりも早い生産現場の回復から、震災によって落ち込んだ生産量を取り戻すために、現場は忙殺されるようになっている。わが国の製造現場の底力を再認識する結果ともなっているが、それにともなって、数ヵ月前には盛んに取り上げられていたBCP（事業継続計画）の導入もあまり具体化が進んでいないことは気がかりである。目の前の課題の解決に注力しなければならないのは当然のこととしても、一方で今回の教訓を活かし、さまざまな起こりうる事象を想定して、「備え」をしておくことも、同時に進めなければならない。