DMEの製造技術と実用化への展望

摘要

人口が多く，経済成長の著しいアジア地域においては，エネルギー需要の伸びは著しく，エネルギーの供給，大都市を中心とした大気汚染が大きな問題となってきている．一方，アジア地域の石油，天然ガス資源量は，各々，世界の5％，7％に過ぎず，LNGとしての利用に適した大規模な天然ガス田も少ない，石炭資源量は世界の31％と比較的恵まれているが，その約半分は亜歴青炭，褐炭などの低品位炭で，水分が高く，自然発火性があるため，その利用はあまり進んでいない．これらの課題に答えうる新しいクリーン燃料として，ジメチルエーテル（Di-Methyl Ether: DME）が注目されている．また，アジア地域のエネルギー需給動向は，エネルギーのほとんどを輸入している日本にとっても大きな影響をもたらす．その典型が中東依存比率の高いLPG輸入価格の高騰である．DMEは物性がLPGとよく似ており，LPGの価格安定にも役立つ可能性があるとして，LPG業界からも注目されている．本稿では，DMEの物性と燃料用途，DME製造技術の動向，DMEの経済性と実用化への課題を紹介する．