MBDとFEMを併用した地震時における新幹線編成車両の線路構造上の高速走行シミュレーション

摘要

本稿では，地震時での新幹線編成車両の線路構造上の高速走行の効果的なシミュレーションを行うための，MBDとFEMを併用したシンプルで効果的な力学モデルと数倍計算法について概説する．地震時に考えられる車輪とレール間の接触衝撃，車輪フランジのレール上への乗り上がり，リフティングや脱輪などの車輪とレール間の相互作用を表現するシンプルな力学モデルが述べられる．また，新幹線車両の運動はMBDにより，線路構造のレールや軌道など断面内（線路直角方向の）は剛とみなせる部材の運動は，その断面内はMBDで，線路方向は複雑な連続体の挙動を示すことからFEMにより効果的に表わす．地震時での新幹線編成車両の線路構造上の高速走行シミュレーションは，編成車両と線路構造の運動方程式を車輪とレール間の相互作用と基部からの地震波入力のもとで解くことにより可能であるが，この大規模な非線形運動方程式を効果的に解くためにモーダル法を用いた数値計算法が開発された．ここで述べた手法に基づき，地震時での編成車両の線路構造上の高速走行のシミュレーションプログラムDIASTARSが開発され，実際問題に通用された．ここでは地震時での実際問題への適用を通しその妥当性と有効性が議論される．