［日本の名作］明石海峡大橋：289mの塔項から見た日本の偉業［後編］

摘要

1995年1月17日午前5時46分、マグニチュード7.3の兵庫県南部地震が神戸市一帯を直撃した。阪神·淡路大震災。明石海峡大橋の建設関係者は述懐する。「ベッドから転がり落ちて目が覚めた。必死で飯場の外に這い出たら、そこで腰が抜けた。揺れる地面に手をついて体を支えながら思った。『大変だ。橋が』」震源は北緯34度36分、東経135度02分、淡路島側の主塔の東南わずか2200mの海底下約16kmであった。橋では左右2本の主塔の建設工事がようやく完了、片側290本のケーブルストランドを両岸に架け渡し、それを空中で束ねて1本のメインケーブルにするスクイズという作業を行っていた。約5000億円の総工費と9年11ヵ月の工期を費やし、延べ210万人が日本の夢に挑んだ不屈の偉業、明石海峡大橋を歩く。