ビル壁面の規則的テクスチャを利用した鳥瞰·街並画像からのビル領域抽出手法

摘要

本論文では，Web上に一般に公開されている烏瞰·街並画像からテクスチャ情報を利用してビル領域を検出する方式を提案する．携帯電話の通信エリアを事前に把握するためには，精度の良い電波伝搬シミュレーション方式と，実世界に即した地図データが必要不可欠であるが，地図データに対しては，コストの観点から実地調査を行った詳細なデータを利用することが困難であった．そこで本研究では，Web上の画像から解析でき，地図データに付与すると効果的であると想定されるビルの壁面に占める窓領域の割合を算出することを目的とする．窓の領域を算出するためには，はじめにビル領域の正確な認識が必要となるが，従来のエッジ情報に基づく解析ではWeb画像の画質の課題などで正確なビル領域の抽出が困難であった．そこで本手法は，ビルに必ず存在する窓領域のテクスチャ情報を先に抽出し，エッジ情報と併用することでビル領域の検出を行う．実験により，目視確認ができるビルの62％に対して，ビルの壁面に占める窓領域の割合を抽出することができ，本手法による地図データへの情報付加の可能性を確認した．