〈特集：パラレルマニピュレータと油空圧〉：油圧パラレルマニピュレータのマスタ·スレーブ制御

摘要

近年、各種製造業のオートメーション化により、生産の合理化·効率化が進んでいる。 しかしその一方で、研磨·塗装·検査など、作業者の高度な熟練と経験が必要となる工程では作業の自動化が難しい場合もある。また、これらの工程は、粉塵、高温、多湿など劣悪環境下での作業も多い。 これらの問題の解決策として、作業者を作業現場から隔離する遠隔操作技術を導入する方法が考えられる。この遠隔操作を、作業者の力感覚が必要とされる作業（例えば、研磨工程）に適用した場合、作業の視覚情報のみならず、作業反力（力覚）の提示が必須となる。 このような場面を想定した遠隔作業の一例を第1図に示す（図は、バフ研磨作業の概念図）。図示のシステムは、マスタとスレーブに相当する2つのマニピュレータからなり、それらはいずれも並列（パラレル）型の6軸アクチュエータによって構成されている。 また、スレーブ側に配置されたエンド·エフェクタには作業用の工具が取り付けられている。 マスタマニピュレータは（操作者からの）操作·指示装置であると同時に、（操作者へ）スレーブ側の作業反力をフィードバックする力覚ディスプレイとしても機能する。 著者らは、図示のような研磨作業を始め、研削、塗装、彫刻など、比較的高速·大パワー·高剛性を要する作業を考察の対象とし、油圧式パラレルリンク型力覚ディスプレイの開発を行ってきた。