素材からみた新しい切削工具とその使い方：鋼加工用サーメット「C7X/C7Z」

摘要

切削加工において加工コストの削減，加工品質向上の追及は留まることがない。 特に，中国をはじめとした「ものづくり」におけるBRICsの台頭は近年目を見張るものがあり，さらなる加工品質向上，コスト削減が必要不可欠となっている。 そのため，切削工具にはより高品質，高能率加工に対応できる工具へのニーズが高まっている。 現在市場にて使用されている切削工具材種のなかで，その高品質，高能率化という市場の要求をもっとも満たす材種の一つとしてサーメット材種が挙げられる。サーメットは，高速切削による高能率加工が可能であり，美麗な加工面品位が得られる特長を有している。 それ故，品質に重きをおいてきた日本市場で成長·発展してきた材種である。 しかしながら，高能率加工で優れた加工品質が得られるにも関わらず，切削工具におけるサーメットのシェアは工具全体売上げの約20％と低い数字に留まっており，ここ10年伸びていないのが実情である。 シェアが伸びない理由の一つとして，サーメットの不安定な寿命，特に熱衝撃が強い断続加工における信頼性の低さが挙げられる。これはサーメットの切削領域の狭さに起因し，現状の特性では，自動稼働化，工具の長寿命化によるコスト削減が強く叫ばれる市場要求に対しニーズを反映しきれていない。 そこで，当社では独自の合金技術によりこれら諸問題を解決することができ，特に鋼の旋削加工において高い耐熱衝撃性能を有する新サーメット「C7X/C7Z」を製品化した。 本稿では，「C7X/C7Z」の特長ならびに切削性能について紹介する。