自動車部品加工技術の現状と今後：自動車産業におけるPcBN切削工具

摘要

今日，自動車産業の競争はこれまでにないほど一段と激化しており，製造コストの削減，部品製造の効率化，および部品性能の向上のための恒常的な努力が払われている。 このため，産業界では最先端の部品素材および加工技術を採用したいと願うようになっている。 概して新しい部品はより素材構造が複雑で，従来素材に比べ硬度や耐摩耗性が増している。 また，より厳しい公差での加工と優れた仕上げ面が要求されている。 こうした傾向は，自動車産業界におけるPcBN（多結晶cBN焼結体）切削工具の使用を大きく増加させるきっかけとなった。 PcBNは自動車部品の加工において，その比類なき性能が優れた経済性と品質をもたらすことができ，研削あるいは超硬やセラミック工具といった確立された加工法は，PcBN工具に置き換えられる傾向にある。 エンジン，トランスミッション，パワートレインユニットの部品加工では，すでに多くの工程でPcBNが採用されている。世界中で販売される全PcBN工具の半分以上が自動車産業で消費されている。 本稿では，自動車産業界におけるPcBNツーリング技術とそれによる加工事例を紹介する。