新アーキテクチャー論 次世代設計者のための設計構想の構築と展開：第6回 先導的開発プロジェクトを担った日本の技術力と衰退の背景（下）

摘要

産業技術総合研究所の研究に見られた「基礎シフト」路線は，その後の長期不況の中で「実用化シフト」へと大きく舵を切らざるを得なくなった。「基礎」と「実用化」の線引きが難しくなる一方，研究開発の国際的連携が一挙に深まった。「基礎的·先導的科学技術分野及び地球環境問題等の全テーマ選定のあり方，メンバーの構成，研究開発成果の評価のあり方を巡って模索が続けられている。しかし，工業技術院が担ったような技術開発には程遠く，ISO14000関連技術にしろ12000関連技術にしろ，欧米の後塵を拝してしまっている。産業技術政策が「全人類的課題」と正面から向き合う中からしか未来は見えてこないだけに，今後の産業技術政策は難しい舵取りを余議なくされる。その一方で，中国，韓国は，日本の経緯を参考に，政府主導型で開発プロジェクトを強め，周知のような驚くほどの成果を上げてきている。表3は，中国の5カ年計画を示したものであるが，内容は先導的な技術開発に向けられている。日本の現状では，差をつけられても致し方な。