躍進する海外金型産業の最先端 総論2：欧州における金型産業

摘要

前回のISTMA（国際金型工業会·協議会）の国際会議（フィンランド·ヨーエンス）が開催されたのが、2007年6月であり、後述するように、欧州の金型業界は好調であった。また2008年10月に開催された第8回欧州生産技術会議（ドイツ·アーヘン）でも、ドイツのみならず多くの金型産業メンバーが次世代の型関連技術の動向に関して議論していだこ。しかし、2009年6月では、ドイツあるいはスイスの優良企業でも人員削減がはじまり、工場の稼働率は50％を切るところも出始めていた。このリーマンショック前後の欧州金型産業の激震は、大きな揺れはおさまったものの、余震の影響がなお大きい。ここでは、客観的な業界動向を、ISTMAの2006年下期未ならびに2009年末の欧州金型産業レポートを中心に調査し、激震前後の欧州金型業界の変動を観察すると同時に、2007～2009年の企業視察から見えた状況も交じえて、欧州金型事情をまとめる。最後に、文献5）の執筆メンバーとの議論から見えてきた今後の金型産業動静を展望する。