成形プロセスの計測とフィードバック：集積熱電対センサによる金型内樹脂温度分布計測

摘要

"溶かして，流して，形にする"プラスチック射出成形では，金型内において樹脂は液相から固相へと急激に相変化する．これが，フローマーク，およびひけ，そりなどの成形不良現象の発生と密接にかかわっているため，樹脂温度分布を詳細に計測することが，成形プロセス解明への重要な手がかりとなっている．金型内の樹脂温度は，これまで，素線熱電対法および赤外線放射温度計測法，超音波温度計測法，蛍光法などにより計測されてきた．しかし，これらの方法では，流動樹脂内部までの詳細な温度分布を正確に計測することが困難であった．このような現状から，めっきにより多数の熱電対パターンをポリイミドフィルム上に形成した集積熱電対センサを開発した．そして，上記センサを図1に示すように，キャビティ壁面に対して垂直に設置して，キャビティ厚さ方向の樹脂温度分布を計測することに成功した．