沿岸漁業を支援する海上海中環境観測システムの研究

摘要

沿岸漁業の一種である定置網漁業は漁場が陸地から遠いため、到着するまでに時間がかかってしまい、移動だけでもコストが発生する。また、同様の理由から漁師は前もって定置網に捕えられた魚の種類や量を知ることができないため、効率的な漁をすることが困難である。従来のシステムでは機材が大きく、高価であるため、沿岸漁業支援には適していないという問題がある。そこで、本稿では定置網周辺の環境を観測可能な新しいセンサネットワークシステムを提案する。提案システムはWebカメラと各種低コストセンサによって構成されている。実地実験は東松島市の沖合にある漁場にて行われ、定置網にシステムを固定して漁場周辺のデータを測定した。そして、実験で取得したデータを元に調査することにより、潮流の推定が可邸であることが証明された。さらに、気象庁の環境データと漁獲量を分析し、関係性を見出すことで提案システムによるデータ取得の有用性について評価を行った。