日本語の読みにおける眼球運動と読み速度の関係

摘要

本研究では，通常の平均読み速度が800文字／分以上および800文字／分未満の2つの被験者群に対して，縦スクロール型電子リーダーに表示された5～40文字／行の横書き文章を読む目の動きを詳細に分析した．その結果，読み速度の速い被験者群は，読み速度の遅い被験者群よりも，平均停留時間は短く，停留数は少なかった．平均停留時間の差は行長によらず一定であった．停留数の差は行長依存性をもち，5～20文字／行では行長の伸長とともに広がる一方で，20～40文字／行では一定であった．5～11文字／行の停留数の差は1行を1停留で読む割合に起因し，20～40文字／行の停留数の差は主に平均順行サッカード長の長さに起因していることがわかった．