PLCのEMI問題を考えるための等価回路表現

摘要

電力線配線網を使用する電力線通信(PLC)は通信回路網を新しく構築しない方式である．信号伝送は2導体線路系で行われており，本質的に電磁界が開空間であるので，PLCではEMI問題が懸念され，どのような電流成分が流れるかが重要事項となる．一般に伝送線路を用いる伝送回路網理論は電信方程式が基本であり，これを解くために多導体線路系ではモード分解の手法が適用されている．2本線路系での直交モード成分はディファレンシャルモードとコモンモードが代表的なモードの組合せであり，電力線からの漏えい電磁界の要因はコモンモード電流が基本となる．ディファレンシャルモード励振電源のPLCモデムが非平衡な負荷回路網に接続されると，コモンモード成分が発生し，この評価が重要な課題となる．小文ではこのような電力配線網におけるEMI問題を考える際の手法として，コモンモード電流を求めるための等価回路表示の手法に関して検討し，数種の等価回路を提示している．