生物ネットワークの縮退特性に基づくシステム冗長化方式における自律的障害回復手法

摘要

我々の研究グループでは、遺伝子ネットワークなどの生物ネットワークのトポロジに見られる縮退特性に基づいた情報ネットワークシステムの冗長化手法を提案している。提案手法は多対多の冗長化を少ない追加資源によって実現することができ、単純な1対1や1対多の冗長化手法に比べて高い頑強性を示すことができるが、障害発生や需要変動などの際のシステム切替手順については単純かつ大きな計算時間を要する手法を前提としていた。そこで本報告では、情報ネットワークシステムを構成する各要素の自律的な動作によって、環境変動の際のシステム切替を実現する手法を提案する。提案手法は物質の化学反応の仕組みを応用し、各要素における反応式と要素間の情報交換を定義することで、自律的な挙動を実現する。提案方式の有効性はシミュレーションによって確認し、簡易な化学反応式を導入することによって多様な環境変動に追随することができることを示す。