複数ポリシに基づいた仮想ネットワークリソース割当法

摘要

次世代の通信ネットワークでは，サービスの要望に基づいて作成された仮想ネットワーク（VN：Virtual Network）に対して，物理ネットワークのリソースを割当てることで，サービスが提供される．このリソース割当問題は，VNE（Virtual Network Embedding）と呼ばれ，様々なポリシ（例：リソース使用量最小化，サービス品質最大化，耐障害性最大化，消費電力最小化など）に基づいたリソース割当法が提案されている．従来手法の多くは，ネットワーク上で統一されたポリシが適応されることを前提とされており，複数のポリシが適応されるような場合は考慮されていない．そこで，本稿では，異なるポリシが適用される複数のドメインを含むネットワークにおけるリソース割当法を提案する．提案手法では，VNの要求条件を分割し，VNの始点から終点にかけて経由する各ドメインにおけるポリシに従ったリソース割当問題を順番に解き，割当結果を確定させていくことで，全体としてポリシに違反しない結果を得ることができる．提案手法をシミュレーションにより評価した結果，ネットワーク全域に同一ポリシを適応した場合と比較して，高精度なリソース割当結果が得られることを確認した．