学習項目間の関係に基づくパーソナライズされた学習過程の自動生成アルゴリズムとその改良

摘要

e-Learningにおいて個々の学習者の知識レベルに適した学習項目を推薦するためには，学習システムは学習者がとりうる知識状態を予め知っておく必要がある．Doignon-Falmagneにより導入されたknowledge spaceおよびlearning spaceは，このような知識状態の構造を表現する数理モデルである．Knowledge spaceを構成する既存のアルゴリズムであるQUERYルーチンは，専門家への質問（クエリ）の回答によってknowledge spaceを更新していく．このアルゴリズムは非常に多くのクエリを必要とし，一方で途中で打ち切ると実用上有用なlearning spaceを必ずしも得られないという問題がある．本研究では与えられたknowledge spaceが含むlearning spaceの中で極大なものが一意に存在することを示し，またlearning spaceに対し問題間の関係による特徴づけを与えた．これらの結果をもとに，knowledge spaceに含まれる極大なlearning spaceを得るための素朴なアルゴリズムを提案する．