視覚障害者のためのレリーフ絵画の鑑賞におけるサイズの違いによる触覚認知への影響

摘要

視覚障害者は絵画を鑑賞することが困難である．絵画鑑賞を支援する方法の一つとして絵画の画像を半立体的に翻案し，触覚による内容の確認ができるようにする方法がイタリアのカヴァッツア盲人協会で開発された．筆者らは，この半立体的に翻案された「「レリーフ絵画」」の触覚的観察の機会を増やすために，オリジナルの石膏レリーフを3次元データ化し，3次元造型法を活用してレリーフを複製するシステムを構築した．この方法では，様々な大きさの複製が可能になる．本研究では，手持ちの復習用教材として，どの程度のサイズであれば，視覚障害者に利用可能であるか検証するために，モナリザのレリーフについて3種類の縮小版を作成し，その触認知の印象について10人の被験者に評価してもらった．その結果，このモナリザのレリーフについてはB5サイズ程度に縮小しても十分その立体形状が把握できることがわかった．