体内伝導音認識システム構築のための基礎的検討

摘要

低SNR環境下でも動作する認識システムを構築するために，骨導音をはじめとする体内伝導信号による認識システム構築の基礎検討を行った．固体伝搬信号は騒音などの空気伝搬信号の影響を受けにくいため，低SNR環境下でも音声認識システムが構築できる可能性がある．まず，認識可能な体内伝導信号を得るために，信号抽出位置の検討を行った．信号抽出位置の評価は周波数特性の他，認識パラメータであるメルケプストラムにおいても行い，上唇左上部が比較的音声に近い特性を示した．そこでこの抽出位置からの体内伝導信号を用いて市販の認識システムにより男性3名による簡易単語認識実験を行つた．その結果，－6dBSNRの環境下で91％の認識率を得ることができ，静寂下の認識に比べても，3％の認識率劣化にとどまることを確認した．