船底防汚塗料の現状と最新の開発動向

摘要

船舶にとって船底防汚塗料（AF：Anti-fouling paint）は，過酷な腐食環境である海洋環境での腐食を防ぐ目的で塗装される防食塗料（AC：Anti-Corrosion paint）と同様，重要な塗料として位置づけられている。その歴史は古く，B．C．600年ころには船体に鉛や銅板による被覆，タール·アスファルトでの処理が施されていたなど，いわば船舶の歴史と共に歩んできたともいえる。このように長い歴史を持ち，絶えず進歩を遂げている船底防汚塗料ではあるが，いまだ究極の塗料は実現しておらず，現在もなお，世界中の塗料メーカーが鎬（しのぎ）を削って開発を進めているところである。昨今，地球温暖化や環境汚染など，環境問題が社会問題化される中，船底防汚塗料に対する社会的ニーズは増してきており，性能面もざることながら環境面への配慮が重要視されてきている。