2008年の経済金融動向について--2008年の世界経済と日本経済の展望について

摘要

2007年夏から米国で発生したサブプライム·ローン問題が欧州に飛び火し，世界経済を揺るがす問題となっている。サブブライム·ローンとは米国の住宅ローンで信用度の低い人達向けの商品である。金融機関が個人に貸し付けた住宅ローンは，大きなまとまりの債権として証券の形にされて，欧州をはじめとした各国の金融機関が購入していたため問題が各国に広がった。サブプライム·ローンはそもそも信用度が低い人達向けの商品で延滞などの事故が多いものであるので，金利が高いだけでなく当然証券化に当たってはかなりの貸し倒れが想定されている。しかし1990年代後半から活況を呈していた米国の住宅市場は，近年大きく落ち込んでおり，延滞などの事故が想定を超えてしまったことから問題が発生した。米国の住宅着工戸数は2005年には207万戸にも達したが，2008年2月の着工戸数は年率106万5000戸にまで減少している。急速に上昇してきた住宅価格も減速しており，カリフォルニアなどの州では下落に転じている。今後は住宅価格の下落がしばらく続き，住宅ローンの焦げ付き問題は信用度の低いサブプライム·ローンだけでなく，より信用度の高いものにまで広がっていくと見られる。