セメント製造における廃棄物·副産物の有効利用

摘要

我が国の産業廃棄物発生量は年間約4億tであり、その処分は、コストおよび処分場不足等の理由で大きな課題となっています。 一方で、セメント産業は、資源·エネルギー多消費型産業であることから、過去のオイルショック等を契機にコスト低減を主目的とした産業廃棄物の有効利用に積極的に取り組んできました。 その結果、我が国のセメント産業は表に示すように2004年反で2，800万tを超える廃棄物·副産物を受け入れています。 廃棄物を有効活用することは、最終処分場の延命だけではなく、石灰石や化石燃料等の天然資源の保全にもつながります。 また、セメント産業による有効利用量は、他の産業と比較して圧倒的に多いため、近年では新しい社会貢献として高い評価を受けています。このような廃棄物大量使用を可能としている理由は、セメントの生産量が約7，200万t（2004年度）と、他の工業製品と比較して大量であることに加えて、セメントの組成や製造工程の特徴を挙げることができます。具体的な廃棄物の利用方法を述べる前に、ここではまずセメントの組成の特徴から述べてみたいと思います。