生コンとコンプライアンス--信頼獲得への取り組み

摘要

2回にわたり、コンプライアンスの視点から、生コンへの信頼獲得に向けた現状と課題を解説してきました。 その1「生コンの品質保証」では、品質保証に関わる制度規格面の課題などを取り上げ、生コン品質への信頼獲得には、社会環境の変化や技術の進歩に十分に対応できるよう、生コンJISなどの規格を柔軟に見直ししていくことが重要であると述べました。 しかし、課題はむしろ規格を利用する側にあるのかもしれません。重要なことは、関係者（規格の利用者）が規格·基準の役割·理念を十分に理解してそれを活用することであり、技術者倫理に基づいた品質保証が実践されてこそ、規格はその本来の力を発揮できるのだといえます。 また、その2「骨材および戻りコン·スラッジ」では、骨材事情の悪化や環境負荷低減への要請などの現状を踏まえて、骨材の品質確保や廃棄物処理の課題を取り上げました。 これらは、今後の深刻化が大きく懸念される事項であり、生コン事業の存続すら危うくする問題ともいえます。 そして、その解決には、関係者（骨材生産者、生コン製造者、生コン購入者）の相互理解と業界の枠を超えた協力体制の構築が強く望まれます。 社会環境が大きく変化するなか、生コンを取り巻く課題も多様化·高度化しています。 「生コンへの信頼獲得」には関係者が一丸となった多くの取り組みが必要であり、それに真撃に取り組むことが、生コンに携わる者に課せられた重要な責務であるといえます。