非線形CAEによる耐火物の構造解析--スポーリング現象·材料非線形性·メゾスケール構造の関連性解明を目指して

摘要

耐火物は特に高温下において，塑性やクリープなどの材料非線形挙動が顕著に現れる。この様な非線形挙動は，耐火物に発生する応力に影響を与え，その結果実炉においては耐用を左右する場合があるため，耐火物の材料開発を行う上で，これらの材料挙動が実際の熱応力割れに対してどの様に影響するかを知ることは非常に重要である。しかしながら，CAEを利用せずにこれを推定しようとすると，多くのケースにおいて推定は非常に困難である。なぜなら，実際の現象は温度やひずみが常に変化しており，それに併せて材料挙動も変化するため，単純化した計算では，それらの変化に追従し，状態を把握し続けることができないためである。材料非線形を考慮できるCAEソフトウェアを利用することにより，これが可能となる。実験データをCAEで利用できるように数式等でモデル化し，実炉の使用状態をシミュレートすることにより，実験データが実際の現象にどの様に影響するかを知ることができ，特性の最適化や現象解明に活用できる。