熱技術者人生半世紀で学んだこと（4·最終回）

摘要

1991年（平成3年）は，筆者にとって特別の年である。 その年の春，紫綬褒章授章と新日鉄フェロー（常務取締役待遇）選任の二重の栄誉をいただいた。さらに単行本「研究開発事始」を刊行し，夢想だにしなかった技術者人生最良の年となった。 また，3個所に分散していた本社直轄の拠点研究所を一箇所に集約するための総合技術センターが，千葉県富津市に建設され本格稼動を開始したのもこの年である。 研究者の役員待遇制度として，新日鉄がフェロー制度を採用したその第一陣に選ばれたことは，この上ない光栄であった。しかし，斎藤祐社長から選任を告げられたときに感じた責任の重さもまた格別であった。 同時に，その喜びは，受章の栄光と相侯って新しいエネルギーに転化されていった。