超高圧変成岩--地球深部との往復書簡（1）

摘要

変成作用は，地裁内却での岩石の華態変化だけではなく地殻－マントルの相互作府を劉ほ起こす地球深部の物質循環にと？ ても，本質的な現象である．したがって，変成岩は地球深部で進行している天然の実験の生成物であると同時に二，地球深部の進化の様子を記録したタイム·カプセルでもある．1980年代前半にコース石を含む変成岩が報告され，それらは超高圧変成岩注1と呼ばれるようになった．この発見により，地殻物質がそれまでの予想をはるかに超えた地球深部にまで沈み込んでいることと，それを再び地表にもたらすためのプロセスの存在が明らかとなった．そして，現在では5－6Gpa（深さ約150－200kmに相当）の庄力条件下で形成された変成岩菜や超塩基性岩類の岩石学，鉱物学や地球化学が，何の抵抗もなく論じられるようになっている．筆者たちは，超高圧変成岩研究の初期の頃から，様々な形でそれらと関わってきた．本号では,主に中国での経験に基づいて超高圧変成作用の研究史を述べ，次回（第2部）では超高圧変成岩の岩石学的·鉱物学的特徴を紹介する．