黄河全流域の地下水利用空間構造

摘要

本研究の意義の一つは，中国人研究者にとってさえ困難な，チャレンジングなテーマを成し遂げたということであろうか．著者らの分担してきたテーマは，それ単独では学術論文になりにくい課題である．データの存在しないデータを推計して作り，そのデータを必要としているモデルに引き渡す仕事である．当然，少なくとも「当たらずとも遠からず」のデータであることが求められているわけである．また，中国で初めて，都市の電子空間情報基盤（高解像度グリッドベースのGISデータ）を作成し，研究に使用したことであろうか．その計画立案，交渉は先方諸機関と慣れない中国語で進めざるをえなかった．結果の質はどうあれ，こういうアクションを経なければ，果実を得られない内容が中国環境研究には非常に多いのではないだろうか．著者らのこの経験が，後続の日本人研究者になにがしかの光明となれば幸いである．