深部地質環境研究センターの地層処分研究--背景と第1期中期計画

摘要

この原稿の執筆時期との関係で，来年度から始まる産総研第2期中期計画（2005－2009年）における深部地質環境研究センターの研究内容について，この報告の中に具体的に盛り込むができなかった．まだ検討段階ではあるが，第2期には規制当局が必要と想定される概要調査の在り方及び精密調査地区選定のあり方に関する技術情報を整備することが，深部地質環境研究センターの中心的な課題となるものと考えている．この内容については，稿を改めて紹介できればと思っている．地層処分は世代間にまたがる息の長い事業であり，それを技術的に支える研究も長期的視点を見失わない必要がある．深部地質環境研究センターは，国の安全規制を支援する目的のもとで研究を実施しているが，規制行政が将来何を必要とするかを，長期的な視点及び先行する諸外国の事例から，十分に検討しておくことが必要かと思われる．また，息の長い研究であるがゆえに，当センターでは，将来安全規制の支援研究をリードできる人材の育成が必要と考えており，スイスにある国際的な研修機関ITC（International Training Center）や米国の原子力規制委員会（NRC）を技術的に支援している放射性廃棄物規制解析センター（CNWR)に,短期及び長期に研究者を派遣している．研究者の研修については，本特集号の月村によるCNWRAの記事，渡部ほかによるITCの記事を参照していただきたい．